IT業界を目指す学生の中には、「SIer・自社開発・SESって何が違うの?」「激務って聞くけど本当?」と、会社選びの基準に迷っている方も多いと思います。私自身、大学の就活時代にIT業界を目指したのは実は途中からで、最初は全く違う業界を回っていました。この記事では、なぜIT業界、その中でもSIerを選んだのか、当時の就活を正直に振り返ります。
SEねぐです。SE歴8年(会社員5年+独立3年)。大卒でSIerに新卒入社し、5年間の会社員経験を経て独立しました。就活当時の選択が、今のキャリアにどうつながっているかも含めてお伝えします。

- IT業界の主な就職先の種類(SIer・自社開発・SESなど)
- なぜIT業界、その中でもSIerを選んだのか
- 実際の就活で何をしたか、内定までの経緯
- 当時抱いていたIT業界へのイメージと実際の違い
- 今振り返って、当時の選択をどう思うか
IT業界の就職先にはどんな種類があるか
就活を始めるにあたって、まず知っておきたいのがIT業界内の会社の種類です。大きく分けると次のような分類があります。
- SIer(システムインテグレーター):顧客企業からシステム開発を請け負い、要件定義から設計・開発・保守までを一気通貫、または一部を担当する会社
- 自社開発:自社ブランドのサービス・アプリを自分たちで企画・開発・提供する会社。クライアントワークが発生しない分、開発方針を自社で決められる
- SES(システムエンジニアリングサービス):エンジニアをクライアント企業に派遣し、客先常駐で技術提供を行う契約形態
- 受託開発:クライアントからの依頼を受けてシステムを開発する契約形態。SIerも受託開発を行うことが多い
ここで注意したいのは、SIer=受託開発というわけではなく、同じSIerの中でも自社開発やSESを手がけている会社があるという点です。会社の看板だけでなく、実際にどんな契約形態・工程を担当することになるのかまで調べておくと、入社後のミスマッチを防ぎやすくなります。
それぞれの働き方には一般的な特徴もあります。自社開発はクライアントワークが発生しない分、厳しい納期に追われる場面が少なく、働きやすい環境と言われることが多い一方、自社サービスの業績がそのままエンジニアの待遇に直結しやすいという側面もあります。SESは案件ごとに常駐先が変わるため、一つの会社に所属しながら幅広い現場を経験できるのが特徴です。SIerは、要件定義から保守まで一連の工程に携わる機会が多く、特定の業種・技術に限定されずに経験の幅を広げやすい点が特徴として挙げられます。
なぜIT業界、その中でもSIerを選んだのか
実を言うと、就活を始めた当初はIT業界に行くつもりが全くありませんでした。最初にエントリーしていたのは銀行や部品メーカー系の企業です。
方向性が変わったきっかけは、就活中にたまたま手に取った「ITによって仕事がどんどん奪われていく」という趣旨の本でした。この本を読んで、これからの時代はITに仕事を奪われる側ではなく、ITを使う側・作る側になりたいという気持ちが芽生えました。そこから急遽IT業界も視野に入れて就活を進めることになります。
IT業界の中でSIerを選んだ理由は、システムの仕組みを根本から理解できると考えたからです。SIerであれば要件定義から製造・保守までを一気通貫で経験できる会社が多く、当時はやりたい分野がまだ定まっていなかったからこそ、色々な工程・業種に挑戦できる環境に魅力を感じました。
今振り返ると、当時の自分は「何かに強くなりたい」という気持ちよりも、「何が向いているか分からないからこそ、選択肢を残しておきたい」という気持ちの方が強かったように思います。自社開発企業のように最初から特定のサービス・技術に絞って深く関わる働き方も魅力的ではありましたが、社会人経験がゼロの状態でいきなり狭い専門性に賭けることに不安があったのも正直なところです。SIerであれば、様々な業種・工程を経験しながら、自分の適性を後から見極めていけると考えたことが、最終的な決め手になりました。
実際の就活で何をしたか
就活の実績を正直に振り返ると、銀行・メーカー系は合計10社ほどエントリー・面接を受けましたが、内定はゼロでした。方向転換後にIT系企業を5社受け、そのうち2社から内定をいただきました。
面接で特に印象に残っているのは「どの業種向けのシステムエンジニアになりたいか?」という質問です。SIerは金融・製造・流通など様々な業種向けにエンジニアを配属する会社が多く、自分で業種を選べるという事実に、当時は素直に高揚感を覚えました。
一方でアピールしたポイントは、技術力ではなく人柄でした。「ITのことはまだ何も分からないが、人の気持ちを理解することには自信がある。顧客が本当に望んでいる要求を引き出せるようなコミュニケーションを心がけたい」と伝えたことを覚えています。技術的な知識が浅い分、コミュニケーション面での強みを軸にアピールした形です。
就活当時、IT業界には「夜遅くまで帰れないブラックな業界」というイメージを持っていました。親や周囲の友人からも「IT系は激務だからやめておいた方がいい」と心配されたこともあります。今振り返ると、当時はまだAIもなく、クラウドの普及もこれからという時期だったため、手作業に時間がかかる工程が多かったことも、こうしたイメージの背景にあったのではないかと思います。
入社した会社での5年間がどんなものだったかについては、こちらの記事で詳しく振り返っています。
今振り返って、当時の選択をどう思うか
結論から言うと、当時SIerを選んだ判断は正しかったと感じています。近年はIT人材の需要が高まり続けており、新卒からIT業界でキャリアを継続してきた自分自身の市場価値も上がっていると実感しています。
また、入社してみると「激務」というイメージとは裏腹に、実際には定時で帰れる日の方が多いというのが正直な感覚でした。就活時代に抱いていた不安は、実際に働いてみると必ずしも当てはまらなかったことになります。
一方で、当時の自分にアドバイスするとしたら伝えたいこともあります。1つは、IT系企業へのエントリーが遅かったことです。方向転換したタイミングでは、すでに採用枠を終えている企業も多く、選べる企業の数が限られていました。もっと早くからIT業界に絞ってエントリーシートを準備していれば、比較検討できる企業の幅がさらに広がっていたと思います。
もう1つは、企業研究の深さです。IT企業の仕事内容をもっと調べ、どんなポジション・どんな工程を経験したいのかまで具体的に落とし込めていれば、面接でのアピールもよりスムーズにできていたはずだと感じています。
2社の内定のうち最終的に入社を決めた会社は、面接で聞かれた「どの業種向けのシステムエンジニアになりたいか」という質問に、当時の自分がもっとも前向きに答えられた会社でした。給与や知名度よりも、入社後に選べる業種の幅広さと、様々な工程に挑戦できる環境かどうかを優先して決めました。「やりたいことがまだ定まっていない」という当時の自分の状態を正直に受け止め、選択肢を狭めない会社を選んだ形です。
SIerでの5年間を経て、なぜ独立という選択をしたのかについては、こちらの記事でお話ししています。
就活の時点では、独立してフリーランスになるという選択肢は正直まったく頭にありませんでした。ただ、SIerで様々な業種・工程を経験できたことが、結果的に独立後にどんな案件でも対応できる基礎体力になったと感じています。就活で「選択肢を残す」という判断をしたことが、8年経った今の働き方の土台につながっているという意味では、当時の自分の判断に一貫性があったのだと、振り返って実感しています。

