「フリーランスは突然契約を切られるかもしれない」——独立前後に誰もが感じる不安のひとつです。
SEねぐです。フリーランスSE3年目。独立してから今の現場に入り、2年半継続しています。この間、契約を打ち切られたことは一度もありません。プロジェクトが変わったことはありますが、それも顧客都合によるもので、継続の意思は常に顧客側にありました。顧客が口にしていた言葉が印象的でした。「良いエンジニアは囲い込みたい。人を探すのも大変な業界なので、成果を出してくれる人には長くいてほしい。」この言葉が、案件継続の本質を表していると思っています。

- 2年半同じ案件を継続できている理由
- 契約を切られるエンジニアの特徴3つ
- フリーランス新法(2024年11月施行)で変わった契約解除のルール
- 日々の業務で「欠かせない存在」になるためにやっていること
- 長期継続から単価交渉に成功した実績と交渉の進め方
契約を切られるフリーランスエンジニアの特徴3つ
まず「切られる側」の特徴を整理します。自分が当てはまっていないか確認してみてください。
① 与えられたタスクが終わったら何もしない
タスクが完了した後に次の指示をただ待つだけでは、「必要な時だけ使うリソース」という認識になります。コスト削減が必要になった局面で最初に候補に挙がるのは、こういったポジションです。現場は常に「この人がいないと何が困るか」を無意識に評価しています。
② 会議で発言しない・存在感が薄い
フリーランスは外部の人間という立場から、会議で黙っていても居づらくなるわけではありません。しかしそれが逆に「いてもいなくても変わらない人」という印象を作ります。成果よりコミュニケーションが契約更新において最重要という現場の実態を考えると、会議での存在感は案件継続に直結します。
③ 問題を一人で抱え込んで報告が遅い
作業の遅延・仕様の不明点・予期しないトラブルを黙って抱えていると、現場の担当者は「何が起きているかわからない」という不安を感じます。フリーランスは社員より情報が少ない立場です。だからこそ、問題の早期報告・共有が信頼構築の基本になります。
- タスクが終わったら次の指示を待つだけ——「いなくても困らない」と思われる
- 会議で発言しない・意見を持たない——存在感が薄く評価されにくい
- 問題を抱え込んで報告が遅い——現場に不安と不信感を与える
フリーランス新法(2024年11月施行)で変わった契約解除のルール
2024年11月に「フリーランス・事業者間取引適正化等法」が施行されました。この法律により、発注者側がフリーランスに対して一方的に不利な条件で契約解除することへの規制が強化されています。
特に重要なのは、継続的な業務委託契約を中途解除する場合、発注者は原則として30日前までに予告する義務が生じた点です。これにより「突然今月で終わり」という一方的な打ち切りリスクが法的に抑制されました。また、不当な契約解除・ハラスメント行為・一方的な報酬の引き下げなども禁止対象になっています。
大手企業の現場では、この法律施行以降、コンプライアンス対応に慎重な担当者が増えており、フリーランスへの対応が以前より丁寧になっている実感があります。「突然切られる不安」は以前より現実的に低くなっていると言えます。ただし、法律はあくまでセーフティネットです。「成果を出して信頼を積む」という本質的な行動が案件継続の土台であることは変わりません。
契約更新を「当たり前」にする考え方
契約更新の時期に特別なことをする必要はありません。更新月だけ急にアピールを始めたり、単価交渉を唐突に持ち出しても、現場の担当者に「普段と違う」と気づかれるだけです。
私が意識しているのは「更新時に何もしなくていい状態を、日常の積み重ねで作ること」です。「いつまでいてくれますか」と現場から言ってもらえる状態が、案件継続の最も安定した形です。そのためには更新月ではなく、参画初日から日々の行動を積み上げることが唯一の方法です。
日々の業務で「欠かせない存在」になるためにやっていること
2年半継続できている理由を突き詰めると、日々の業務で意識している3つの行動に行き着きます。
① 積極的にタスクを作る
与えられた仕事をこなすだけでなく、「これをやった方がいい」という改善点や次のタスクを自分から提案・着手するようにしています。業務の中で「この作業を効率化できる」「このドキュメントが整理されていない」「この会議の議事録が残っていない」という点を見つけたら声をかけて対応します。改善提案が通らなくても「気づいて動こうとした」という姿勢は確実に評価されます。
② 会議で積極的に発言する
プロジェクトの方向性に疑問があれば質問し、改善案があれば提案します。「○○が分からなかった」という確認でも構いません。自分の頭で考えた発言を積み重ねることで「この人はちゃんと考えている」という印象を関係者に植え付けられます。黙って作業するだけのフリーランスより、発言して存在感を示すフリーランスの方が「いなくなると困る」と感じてもらいやすいです。
③ 複数の関係者から頼られる存在になる
1人の担当者にだけ評価されている状態より、複数の関係者から「あの人に聞けばわかる」「あの人がいると助かる」と思われている状態の方が、契約継続の安定性が格段に上がります。意識的に複数のステークホルダーと関係を作り、現場全体で「欠かせない存在」のポジションを作ることを目指しています。
- タスクを自分から作る:改善点・次の課題を見つけて提案・着手する。与えられた仕事だけこなす人にならない
- 会議で発言する:質問・提案・意見を積極的に出す。黙っているだけでは存在感が薄くなる
- 複数の関係者から頼られる:1人に依存せず、現場全体で「いると助かる人」のポジションを作る
長期継続から単価交渉に成功した実績——5つの軸で実績を整理した
案件を長期継続することには、収入の安定以外にも重要なメリットがあります。信頼が積み上がった状態での単価交渉は、成功率が大幅に上がります。
私が実際に行った単価交渉の流れをお伝えします。エージェント経由の案件だったため、まずエージェントに電話で単価交渉の意思を伝え、その後実績とアピールポイントをメールで送付しました。このメールで意識したのが、実績を以下の5つの軸に分けて整理することです。
- 品質:リリース後の致命的なバグゼロ・安定稼働の実績
- コミュニケーション:顧客との認識合わせの徹底・早期の問題共有
- 役割:プログラマー・テスター・設計・プロジェクトリードを並行でこなした実績
- スキルアップ:顧客専用のローコードツールを自主的に習得し、承認システムの作成が可能なレベルまで習熟。小規模であれば上流・下流1人で対応できるレベルに到達
- 周りからの評価:複数の関係者から「一緒に働きやすい」という評価を得ている実態
「頑張っています」という主観的なアピールではなく、5つの軸に沿って具体的な成果を整理することで、エージェントが発注者側に交渉しやすい材料を提供できます。この交渉の結果、単価アップを実現しました。その後も同じ現場でのパフォーマンスを継続することで、さらに複数回の単価アップにつながっています。
単価アップの具体的な推移については、こちらの記事で詳しく公開しています。
長期継続案件がもたらすメリット——収入安定だけではない
同じ案件を長く続けることのメリットは、単純な収入の安定だけではありません。
まず、現場のコンテキストが蓄積されることです。業務の背景・関係者の役割・過去の意思決定の経緯を知っていることで、新しい課題に対して即座に的確な提案ができます。これは短期案件では得られない強みです。現場から見れば「この人は経緯を知っている」という安心感があり、それ自体が継続の理由になります。
次に、精神的な安定です。「次の案件はどこになるか」という不安がない状態で仕事に集中できることは、パフォーマンスにも直結します。収入の見通しが立てやすくなるため、NISAの積立継続や投資判断もブレなくなります。フリーランスとして長く活動するためのメンタル的な土台になっています。
- 「良いエンジニアは囲い込みたい」が現場の本音。成果を出せば長期継続は難しくない
- フリーランス新法(2024年11月施行)により30日前予告が義務化され、突然の打ち切りリスクが法的に低下した
- 切られるエンジニアの共通点は「指示待ち・発言なし・報告遅れ」の3つ
- 欠かせない存在になるには「タスクの自作・会議での発言・複数関係者からの信頼」を日常から意識する
- 単価交渉は「品質・コミュニケーション・役割・スキルアップ・周りからの評価」の5軸で実績を整理してエージェント経由で進める
- 長期継続はコンテキストの蓄積・単価交渉の機会・精神的安定という複合メリットをもたらす
案件継続の秘訣は更新月に何かをすることではなく、毎日の仕事の積み重ねの中にあります。「いなくなると困る存在」になることが、フリーランスとして長く安定して働くための最短ルートです。
フリーランスエンジニアとして使うエージェントの選び方は、こちらの記事でまとめています。
※本記事は個人の体験談をもとにしています。案件継続の結果は現場環境・スキル・状況によって異なります。フリーランス・事業者間取引適正化等法の詳細は厚生労働省・公正取引委員会の公式サイトをご確認ください。


