会社員時代は年末調整で済んでいた確定申告。独立を考えると「自分にできるのか」「税理士に頼まないと無理なのでは」と不安に感じている方も多いと思います。すでにフリーランスとして活動している方の中にも、「そろそろ税理士に頼んだ方がいいのだろうか」と迷っている方もいるでしょう。この記事では、3年間自分で確定申告を続けている立場から、税理士に頼むか自分でやるかの判断について正直にお話しします。
SEねぐです。フリーランスSE3年目。税理士への依頼を検討したこともありますが、結論として3年間自分で確定申告を続けています。独立前の不安、実際にやってみて感じた苦労、税理士に依頼すべき人の基準まで、順を追ってお伝えします。

- 税理士に依頼する場合の一般的な費用相場
- なぜ3年間、税理士に頼まず自分で確定申告をしているのか
- 自分で申告するための具体的な方法・ツール
- 自分で申告していて困った・ヒヤッとした経験
- 税理士に依頼した方がいいのはどんな人か
- 独立前の会社員が今からできる準備
税理士に依頼する場合と自分でやる場合、何が違うのか
まず、税理士に依頼する場合の一般的な費用感を整理しておきます。個人事業主が確定申告のみを税理士に依頼する場合、青色申告で5万円〜10万円程度が目安とされています。日々の記帳から丸ごと依頼する場合は、月額の顧問料が加わり、年間で見るとさらに費用が膨らみます。
一方、自分で確定申告を行う場合、金銭的なコストはクラウド会計ソフトの利用料(年間1万円前後が一般的)程度に抑えられますが、その分、記帳・申告書作成にかかる時間というコストが発生します。税理士に依頼する場合は「お金を払って時間を買う」、自分でやる場合は「時間をかけてお金を残す」という、トレードオフの関係にあると言えます。
例えば、税理士に確定申告のみを依頼して年間8万円を支払う場合と、会計ソフトを年間1万円程度で契約して自分で作業する場合とでは、単純計算で年間7万円の差が生まれます。この差額をどう捉えるかは人それぞれですが、「7万円あれば新しい技術書や学習コンテンツにいくつ投資できるか」「7万円分の時間を営業活動や本業のスキルアップに充てた方が長期的にはリターンが大きいのではないか」といった視点で考えてみると、自分にとっての最適な選択が見えてきやすくなります。
なぜ3年間、税理士に頼まず自分で確定申告をしているのか
正直に言うと、税理士への依頼は検討したことがあります。それでも自分でやり続けている理由は主に3つです。
1つ目は、単純に費用がもったいないと感じたことです。自分で勉強すればできることに、毎年数万円〜十数万円を払い続けるのは、独立初期の身としては負担が大きいと感じました。2つ目は、収入構造がシンプルだったことです。複数の収入源があるわけではなく、毎月決まった日に定額の売上が入る契約形態のため、売上管理自体はそれほど複雑ではありませんでした。仮に案件を掛け持ちしていたり、月ごとに単価や稼働日数が変動する契約だったりすれば、記帳の手間はもっと増えていたと思います。定額・単一契約という自分の状況が、自分で申告するハードルを下げてくれていたのは間違いありません。3つ目は、会計の知識を身につけること自体がスキルアップになると考えたことです。事業を運営する上で、お金の流れを自分で把握できることは、フリーランスとして長く続けていく上での土台になると考えました。
実際の申告方法としては、「やよいの青色申告オンライン」を使って青色申告決算書と確定申告書を作成し、最終的にe-Taxで税務署へ電子提出しています。日々の運用としては、毎月の請求書・注文書をPC内のフォルダで管理し、確定申告の時期にまとめて入力しています。紙の領収書は月ごとにバインダーへ格納し、一定期間ごとに会計ソフトへ入力する形を取っています。
作業時間は、初年度は勘定科目の選び方、確定申告書の書き方、住宅ローン控除の申請書、ふるさと納税の記入方法など分からないことだらけで、合計30時間程度かかりました。2年目以降は初年度のやり方を記録に残していたため、10時間以内で完了できるようになっています。1年目の負担を乗り越えれば、年々作業時間が短縮されていく実感があります。
1年目の申告でどんな誤算があったかについては、こちらの記事で詳しく公開しています。
自分で申告していて困った・ヒヤッとしたこと
自分で申告を続ける中で、正直「これは困った」と感じた経験も2つあります。
1つ目は、電子領収書の管理です。紙の領収書はバインダーで管理できていましたが、ツール代・サーバー代やAmazon・楽天などネット購入の領収書は、日々ダウンロードして保存する習慣がついていませんでした。確定申告の時期になって過去の領収書がダウンロードできるか分からず、正直ヒヤッとしました。結果的には問題なくダウンロードできましたが、サービスによっては領収書の保管期限が設けられている場合もあるため、電子領収書はこまめにダウンロードしておく必要があると学びました。
2つ目は、インボイス登録への切り替えです。途中でインボイス制度に登録したため、確定申告時に何をすればいいのか分からず戸惑いました。ただし、使用している「やよいの青色申告オンライン」には、インボイス登録者向けの入力方法があらかじめ用意されており、スムーズに移行できただけでなく、2割特例(インボイス登録者向けの負担軽減措置)も問題なく受けることができました。会計ソフトが制度変更にきちんと対応してくれていたことに、正直かなり助けられました。
分からないことが出てきた際は、基本的にネットで調べるか、AIに質問して解決しています。近年はAIの回答精度も高くなっており、税務の細かい疑問についても安心して相談できる場面が増えたと感じています。
税理士に依頼した方がいいのはどんな人か
3年間自分でやってきた立場から見ても、税理士への依頼が向いている人はいると思います。一般的に、以下のようなケースでは税理士への依頼を検討する価値があると言われています。
- 複数の収入源があり、取引件数が多く記帳の手間が大きい人
- 売上規模が大きく、消費税の計算方法(簡易課税・原則課税)の判断が複雑になってきた人
- 本業の作業時間を確保することを最優先したい人
- 節税の余地を専門家の視点でチェックしてもらいたい人
私の場合は収入源がシンプルで、会計ソフトが制度変更にも対応してくれているため、今のところ自分で続ける判断をしています。ただし、今後案件数が増えたり、法人化を検討する段階になったりすれば、税理士への依頼を見直すタイミングが来るかもしれません。
簡単に費用対効果を試算してみます。税理士への依頼費用を仮に年間8万円、自分でやる場合の作業時間を年間10時間とすると、時間単価に換算して8,000円以上の価値がある仕事を確定申告の時間分あきらめてでも税理士に頼む方が得、という考え方もできます。逆に言えば、自分の時間単価がそこまで高くない、あるいは繁忙期と確定申告の時期が重ならないという状況であれば、自分でやった方がトータルでは得になる可能性が高いということです。単純に「面倒だから頼む・頑張るから自分でやる」ではなく、こうした時間単価の視点で一度計算してみると、自分にとっての最適解が見えやすくなると思います。
2年目以降、確定申告の負担を減らすために変えたことについては、こちらの記事でも公開しています。
独立前の会社員エンジニアが今からできる準備
会社員時代は、年末調整で簡単な質問に答えるだけで済んでいたため、確定申告には「会計の知識がないとできない」「税理士に頼まないと申告書は作れない」という難しいイメージを持っていました。お金がかかるものだという先入観もありました。
もし独立前の自分にアドバイスするなら、確定申告に関する本を1〜2冊読んで、事前に基本的な流れを勉強しておくことを伝えたいです。実際、独立前に確定申告の入門書を2冊読んでおいたことは、独立後にとても役立ちました。確定申告そのものは年度末の3月に行いますが、直前になってから慌てるのではなく、独立した時点から日々の売上・経費・控除関連の書類を整理しておくことで、3月の作業がぐっとスムーズになります。「申告は3月にやるものだから、それまでは何もしなくていい」ではなく、独立初日から準備は始まっていると考えておくのがおすすめです。
具体的には、領収書を受け取ったその場でスマートフォンで撮影しておく、電子領収書はダウンロードしてすぐにフォルダへ保存する、月末に一度その月の売上・経費をざっと見返す、といった小さな習慣を独立初月から始めておくだけで、3月にまとめて慌てて探し回る事態を防げます。会計の勉強も、いきなり分厚い専門書に挑戦するのではなく、フリーランス向けの薄い入門書を1冊通読するくらいから始めれば十分です。全体像さえつかんでおけば、あとは実際に手を動かしながら覚えていくことができます。
確定申告を税理士に頼むか自分でやるかは、収入構造の複雑さ・本業にかけたい時間・会計知識を身につけたいかどうかによって変わってきます。私の場合は、収入がシンプルで会計ソフトのサポートも手厚かったことから、3年間自分で申告を続けており、作業時間も初年度の30時間から10時間以内へと短縮できました。独立前の会社員の方は、確定申告を「未経験の怖いもの」のままにせず、早めに本で基礎知識を身につけておくことで、独立後の不安をかなり減らせると思います。
※本記事は個人の体験談・一般的な相場情報をもとにしています。税理士費用や確定申告の手続きは、個々の状況や年度によって異なります。詳細は税理士または税務署にご確認ください。

