「独立したいけど、本当によかったと思えるのだろうか」——独立前に誰もが抱く不安です。
SEねぐです。フリーランスSE3年目。SIerに5年勤めた後に独立しました。結論から言うと、3年経った今、「会社員に戻りたい」と思ったことは一度もありません。ただ、後悔したことも正直あります。よかった点だけを並べても読者の判断材料にならないと思うので、後悔したことも含めてきれいごとなしでお伝えします。

- フリーランス3年目が感じた「独立してよかった」理由5つ(数字・体験談あり)
- 正直に後悔したこと2つ——孤独感と高単価ゆえの身動きの重さ
- よかった点と後悔した点を踏まえた上で「それでも独立してよかった」と言える理由
独立してよかった理由① 本音で顧客に向き合えるようになった
独立して最も大きく変わったと感じているのは、仕事への向き合い方です。
会社員時代は、顧客に対して率直な意見を伝えたくても「会社の立場として問題にならないか」という考えが常に頭をよぎりました。顧客のためになると思う提案でも、社内の調整が必要で伝えられないケースもありました。自分の発言ひとつで会社に迷惑がかかるかもしれないという制約の中で、発言を無難な形に整えることが習慣になっていました。
独立してからは、自分の言動の結果はすべて自分に返ってきます。だからこそ、顧客のためになると判断したことは率直に伝えられます。「これは正直に言った方がお客さんのためになる」と思ったら、そのまま伝えます。この働き方が自分には合っていて、結果として顧客から「話しやすい」「相談しやすい」と言ってもらえる場面が増えました。本音でぶつかれる分、顧客との信頼関係が会社員時代より深くなったと感じています。
独立してよかった理由② 残業がなくなり子育ての時間が増えた
会社員時代は月平均20時間の残業がありました。フリーランスになってからはこの残業がほぼゼロになりました。月20時間分の時間が丸ごと自分の手に戻ってきたことで、日常の使い方が大きく変わりました。
最も実感しているのは子育ての時間です。残業で帰宅が遅くなる日がなくなり、毎日子供との夕食・お風呂・寝かしつけの時間を確保できるようになりました。週2〜3日の在宅勤務では通勤時間が浮く分、朝の時間も子供と過ごせます。会社員時代は「今日も残業で子供が寝た後に帰る」という日が月に何度もありましたが、今はそれがありません。
休暇の取り方も変わりました。有給休暇の日数を気にする必要がなく、稼働時間の合計を満たせれば自分のタイミングで休めます。GWやお盆の混雑を避けて平日に長期休暇を取り、家族と海外旅行に行くことも現実になりました。同じ旅行でも費用が安く混雑がなく、会社員時代とは体験の質が変わりました。
独立してよかった理由③ 収入が増え、NISAの積立額を増やせた
独立後、単価交渉を重ねた結果として収入は会社員時代より大幅に増えました。4か月後に月2万円・1年後に月3万円・2年後に月15万円・2年半後に月1万円と、単価が上がり続けています。
収入が増えたことで最も変わったのは、資産形成のペースです。NISAの積立額を増やすことができ、FIRE目標に向けた資産の積み上げが加速しました。現在は毎月FANG+・S&P500・一歩先いくUSテック・メガ10に合計15万円を積み立てており、現在の評価額は約500万円です。
日常の細かいお金の使い方も変わりました。ランチや家族との外食で値段を気にして妥協することが減り、子供のプレゼントや習い事をお金の面で諦めることもなくなりました。これはささいなことのように見えて、実際の生活の満足度に大きく影響しています。収入が増えると心の余裕も生まれる、というのは独立して初めて実感したことです。
NISAの積立シミュレーションについては、こちらの記事で詳しく公開しています。
独立してよかった理由④ 確定申告でお金の解像度が上がった
会社員時代は年末調整を記入するだけで税金の手続きが完了していました。フリーランスになってからは、日々の交通費・経費を管理し、年度末に所得・控除・各種税金を自分で計算して申告する必要があります。最初は面倒でしかありませんでした。
ただ、やってみると見え方が変わります。税制改正のニュース・社会保険の仕組み・使える控除の種類に自然と敏感になり、「来年の税金はこれくらいになりそうだ」という見通しが立てられるようになります。会社員時代は「給与から引かれるもの」として意識していなかったお金が、フリーランスになって初めてリアルに見えてきました。お金の解像度が上がったことで、資産形成の判断の質も上がったと感じています。
1年目の確定申告では20万円の誤算をした経験もあります。税金まわりの準備は早めにしておくことをおすすめします。
独立してよかった理由⑤ 自分の行動が結果に直結する充実感
会社員時代は、どれだけ成果を出しても評価は上司の判断や年功序列に左右されました。同僚より高い評価をいただいていても、年齢・年次が上の人の方が給与が高いという構造の中では、頑張りと報酬が一致しない感覚が積み重なっていきました。
フリーランスになると、良くも悪くも自分の行動がそのまま結果に返ってきます。現場で成果を出せば単価交渉で評価が反映され、サボれば契約更新に影響します。最初はプレッシャーに感じることもありましたが、3年経った今は「自分でコントロールできる」という感覚の方が大きいです。仕事への主体性が上がり、一日の終わりに感じる充実感は会社員時代とは明らかに違います。
正直に後悔していること——きれいごとなしで話す
よかった点を5つ挙げてきましたが、後悔したこともあります。独立を検討している方にとってこそ、この部分が判断材料になると思うので正直に話します。
① 現場の全員が他社という孤独感
フリーランスとして常駐している現場では、チームで仕事をしますが立場上は全員が他社の人間です。会社員だけの打ち合わせや飲み会の場に呼ばれないことがあり、一人だけ残される場面がありました。会社員時代は同じ現場でなくても「同僚」として自然に輪の中にいられましたが、フリーランスになると声をかけてもらう側ではなく、気を遣わせてしまう側になることがあります。
特に独立1年目は日常会話の中でも孤独を感じることがありました。相手方の社員はBtoBとして丁寧に接してくれますが、その気遣いが逆にプライベートな会話の壁を作る場面もありました。仕事の話はできても、雑談や冗談が弾みにくい関係性が続くことが思ったよりしんどかったです。
② 高単価ゆえに案件を変えられなくなった
独立してから単価が順調に上がり続けたことは喜ばしいことです。ただ、これが思わぬ形で自由度を制限しました。
高単価で成果を出し続けた結果、次の案件でも同じ水準を維持しようとすると選択肢が狭くなります。「仕事内容を変えたい」「別の技術に挑戦したい」と思っても、今の単価と同等の条件で動ける案件が見つからないケースが続きました。顧客からも評価されていたため「いつまでいてくれますか」と引き留められることが増え、割り切って案件を変える判断がしにくくなりました。
「フリーランスは自由に案件を選べる」というイメージは半分正しく、半分は誤りです。高単価で実績を積むほど、その水準を維持しようとするプレッシャーが生まれ、逆説的に動きにくくなる場面があります。これは独立前には想定していなかった後悔のひとつです。
- 常駐現場での孤独感——他社扱いゆえの「輪の外」感は、会社員では気づかない感覚。独立1年目が最もきつい
- 高単価による身動きの重さ——成果を出すほど「この単価を手放せない」という心理が生まれ、キャリアチェンジの判断が難しくなる
それでも「独立してよかった」と言える理由
後悔した点を正直に話した上で、それでも「独立してよかった」と言える理由をまとめます。
孤独感は3年経つとある程度慣れます。現場での信頼を積み上げるほど、相手の接し方も自然に変わっていきます。高単価による身動きの重さは、今も課題として残っていますが、それは「成果を出し続けた結果として生じた贅沢な悩み」とも言えます。
後悔した点は確かにありますが、それらを差し引いても「本音で仕事ができる環境」「残業ゼロで子育てに向き合える時間」「成果が収入に直結する充実感」は、会社員に戻ってまで手放したいものではありません。独立して後悔したことがない、とは言いません。でも総合的に見て、独立して3年間のQOLは会社員時代より確実に上がっています。
独立を迷っている方に一つだけ伝えるとすれば、「合わなければ会社員に戻ればいい」という発想を持つことです。独立は取り返しのつかない選択ではありません。この発想があるだけで、一歩踏み出す心理的なハードルが大きく下がります。
- 本音で顧客に向き合えるようになり、信頼関係が深まった
- 残業がなくなり月20時間分の時間が子育て・副業に使えるようになった
- 収入増でNISAの積立額が増え、FIRE目標への資産形成ペースが上がった
- 確定申告でお金の解像度が上がり、資産形成の判断の質も向上した
- 自分の行動が結果に直結する充実感は会社員時代より大きい
- 後悔したこと:孤独感(特に1年目)と高単価ゆえの案件変更のしにくさ
- 後悔を差し引いても、3年間のQOLは会社員時代より確実に上がっている
独立を検討しているなら、まず準備できることから始めてみてください。独立前にやっておくべきことはこちらの記事でまとめています。
※本記事は個人の体験談をもとにしています。独立後の収入・環境はスキルや案件状況によって大きく異なります。


